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“いのち”とは


 「あなたにとって一番大事なものは何ですか?」と問われたとき、多分ほとんどの人は「“いのち”です」と答えることと思います。

 それはそうです。“いのち”が無くなったら生きていられませんから・・・

 生きとし生けるものは、“いのち”のおかげで生きています。
 いや、生かされています

 では、“いのち”とは何でしょう。

   大抵は「命」として、
 【生物の生きてゆく原動力, 生命力(広辞苑) 
 【生物を生かしていく根源的な力, 生命(大辞林)
   のように解釈されると思います。

 “いのち”は、
 一般的には
  【大自然が有する生体秩序形成・維持機能】
 
より本質的には、生物に限らず、万有に遍く作用している
  【自然界の秩序形成・維持機能】
  と定義できます。

 全てのものは、この“いのち”のはたらきに支えられ、
 自然(じねん)の一部として、一時的にこの世に存在しているのです。 

 “いのち”は物質ではありません。
 “いのち”は、大自然のはたらきであり、力であり、エネルギーです。 

 その本体は何でしょうか?
 「空」というヒントを残しておきましょう。
 色即是空 空即是色の空です。
 

 “いのち”はいつからあるのでしょうか?
 
 “いのち”は宇宙誕生の当初からあると言って差支えないでしょう。
 そもそも、宇宙を誕生させたエネルギーも、この“いのち”なのでしょうね。

 “いのち”は宇宙の秩序と調和と進化を司り、                                 生命体の発生と同時に生体の秩序形成・維持をも司り、
 万物の実体としてずっとはたらき続けているのです。

  “いのち”の本質は・・・
   【普遍性/つながり/動的平衡/可変的/循環/】
 これらの要素は、“いのち”の本質的複合属性として内在しています。

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つながり

「人の体は小宇宙である」 と言われますが、  人に限らず 、全て の存在すなわち万有は、   “いのち”のはたらきに支えられ 、  宇宙と同様の普遍的秩序を持って、   大自然の一部として存在しています 。  すべては、この宇宙空間にそれぞれに固有の “場 ” が与えられ、  さらに“いのち”のはたらきのおかげで存在しているのです。  これ即ち、  宇宙の全ての存在(万有)は、それぞれ独立しているように見えて、  本質的にはひとつ ながりである ことを意味します。      人は、“いのち”と身体と心が結びついた生きものですが、人として生きて行くためには、生来の遺伝因子のみならず、縁ある環境とのつながりの中で、空気と水と栄養とエネルギーと情報の出し入れをしなければなりません。  腸には500種以上、100兆個、重量にして1kg~1.5kgと言われる、膨大な数の 腸内細菌 が、 腸内フローラ(細菌叢) を形成して共生し、消化吸収を助け、 腸管免疫 を担い、また脳の発達にも深く関わって、我々を生かしてくれています。  私たちの体は、元はたった1個の受精卵から 細胞分裂 を繰り返し、更に 多様 に 分化 してできた、 37兆個 (Eva Bianconi 2013) もの細胞の集まりですが、  全ての細胞が、神経伝達物質やホルモンなどを共有の情報媒体として、お互いに緊密につながり合い、「部分は全体、全体は部分」と言えるような、驚くべき秩序を形成しています。  この地球には多種多様な生物が、多様な生態系に育まれて生息していますが、 すべての生物が、 DNA に書き込まれた生命の設計図( =遺伝情報 )を遺伝することで、可変的に 永遠 の命 をつないでいます。   素粒子 の世界では、 全ての元素 は 電子とクォーク (アップクォーク&ダウンクォーク) の組み合わせで出来ている ことがわかっていますが、これは 全てのものは究極的 には電子とクォークでできている ことを意味します。  すべての形あるものは、 元素 が高密度に集まって形作られていますが、 元素は 原子核 の周りを 電子 が周回運動することによって形成され、 原子核 は、同数の 陽子 と 中性子 が グルーオン と言う素粒子によって結び付けられて出来ています。

バランス

“バランス”もまた“いのち”に不可欠な要素です。 これには、相反する性質を持っている2者間のバランスと、 相補的に協力し合って働いているもの同士のバランスがあります。 さらにここで言うバランスは、単なる中庸ではなく、自然界の特質を反映した、 動的なバランス (=動的平衡 福岡伸一 ) であるという特徴があります。  例えば、陰陽,プラスマイナス,心と体,交感神経と副交感神経,免疫,ホルモン,栄養,分解と合成,死と誕生,静と動,利己と利他,引力と遠心力,等々  すぐ思いつくだけでも、実にたくさんのバランス抜きでは語れないものがあります。  そして、その悉くが、“いのち”の働きに不可欠な要素として、宇宙から自然環境、私たち自身の健康や生き方、さらに人間社会全般に至るまで、我々とつながりのある全てに深く関わっているのです。